中国独自のオーガニック基準
中国のオーガニック製品の国家基準とは、「化学的に合成された殺虫剤や肥料、成長調整剤、飼料添加物及び遺伝子組み換え生物とその製品を有機製品の生産に使用してはならないこと」を規定しています。
中国におけるオーガニック製品の規制機関は、CNCA(中国国家認証認可監督管理委員会)とオーガニック認証機関が行っており、厳しく管理されています。
中国オーガニック認定の種類
中国のオーガニック食品には、下記のような表示があります。
●オーガニック製品
オーガニック製品は、特定の有機農業生産基準に従い、生産過程において遺伝子組み換え作物・食品や化学合成農薬・肥料、成長調整剤、飼料添加物などを使用せずに生産された製品を指します。
製品認可の中で、認定審査基準が1番厳しいロゴです。
●グリーンフードサイン
グリーンフードサインは、グリーンフード生産基準に従い、自然農法や生態系を守るような技術で生産された製品を指します。
化学薬品や合成肥料、農薬、動物用医薬品、水産用医薬品、添加物等を使用せず、品質は専門機関の生鮮食品規格に適合する製品のみ許可が下り、使用することができます。
●無公害農産物
無公害農産物とは、生産地の環境がきれいである製品を指します。
国から指定された技術操作手順で製品が生産されており、有害物質は品質管理で指定された基準以内であると承認・認可された製品に使用されるロゴです。
日本のオーガニック基準
日本の農産物(穀物・野菜・植物)のオーガニック認定は、「農林水産省」が管轄しています。
- 有機農産物であっては、堆肥等で土作りを行い、化学合成肥料及び農薬の不使用を基本とした栽培
- 有機畜産物にあっては、有機農産物等の給与、過剰な動物医薬品等の使用の制限、動物福祉への配慮等により飼養
- これらの生産に当たっては、遺伝子組み換え技術は飼養禁止など
これらの基準を満たさない場合、「オーガニック」「有機栽培」という表示ができません。
引用:「有機JAS制度について」
日本と中国のオーガニックの基準比較
日本と中国のオーガニック基準を比較してみましょう。
他の先進国に比べ「オーガニック後進国」と言われる日本ですが、中国と日本のオーガニック基準はほとんど等しくなっています。しかし、カナダやスイスなどの一部の国では、日本の有機栽培農作物を自国でもオーガニックとしてそのまま受け入れる国もあります。国際的な信用という面で、日本のオーガニック基準は中国に比べると世界の標準レベルに近いものと言えます。
中国人のオーガニック意識
2020年の新型コロナウイルス以降、中国人の健康安全思考はより高まり、その影響でオーガニック製品への関心も上がってきています。
2012年中国のオーガニック制度が新たに導入される以前、中国人のオーガニック製品に対しての印象は、食品安全問題と同様に不信感が多くありました。しかし、新たな制度が導入されてから、オーガニックの認知向上のためのイベントなどが政府始動で行われ、次第にオーガニックの認知度は高まっていきました。
北京在住の中国人主婦は、普通の牛乳より値段は高いが、食の安全の面でオーガニックミルクを子供のために購入しているそうです。
たまに売り切れになることがあるので、ストックで何個か購入していると言います。
子供のいる富裕層家庭の場合は、子供の食の安全の面で、オーガニック製品を取り入れている家庭が多くあります。
若い世代の場合、美容やファッション感覚でオーガニックフードを扱っているレストランに行き、SNSなどにその様子を投稿する「オーガニックライフ(有机生活)」という言葉もあるように、流行としてお洒落感覚で生活の中に取り入れている層が多くいます。一方で「高価」なので買えないという人もおり、日本と同様オーガニック製品を購入する人は「意識高い系」と言われる、高所得者が多い傾向にあります。
中国のオーガニック製品などの市場伸び率
毎年25%の速度で成長するオーガニック市場
近年、中国ではロハスや環境保護、SDGsの持続可能な消費と生産の観点から、オーガニック市場は毎年25%の速度で成長しています。新しい世代の消費者は、高品質の製品であることはもちろん、それらが健康や環境に影響することも考慮し商品を購入しています。
2021年度「中国有機産業発展報告書」によると、2020年に合計27億のオーガニック製品マークを発行し、オーガニック製品の総売上804.5億元に達しました。また同報告書によると、2020年の認定有機作物栽培面積は243万5000ヘクタールに達し、2019年より18.6%増加し、世界で4位にランクインされました。
引用元:中国财经
オーガニック製品は高級品
長い間、オーガニック製品は「高価」というイメージがあり、消費者になかなか受け入れられませんでした。
野菜市場に行けば数元で購入できる野菜が、オーガニックの場合一袋数十元の費用がかかります。
それは有機野菜を生産する上で、人件費や損失・認証コストが通常の野菜より遥かに高くなるため、価格を押し上げる要因となっていますまた、オーガニック市場に力を注いでいる企業も多くいますが、安定した供給先の顧客基盤がないため、売り上げの確保が難しく、企業側も苦戦していました。
幸いなことにインターネットが普及してから、コミュニティやグループ購入など新しい販売モデルが浸透し、オーガニックマーケットの売り上げを支えてきました。
アリババ次世代スーパー「盒馬」のオーガニック野菜
アリババ集団の次世代スーパー「盒馬」がオーガニック野菜を取り扱うブランド「盒馬有新鮮」をリリースしたことも、オーガニック製品のマーケットを成長させたきっかけとなりました。
長い間、オーガニック野菜は価格が高く、供給する顧客の確保が難しいので鮮度管理が不十分でした。
それらの問題を解決するために、盒馬は2020年に有機農家と共同で建設した有機野菜の植栽基地の数を4箇所から100箇所へと増やしました。これらの施設で、受注植栽モデルを実施し、中国全土の地理条件や温度条件の違いを活かし、野菜の鮮度管理問題の解決に成功しました。
また、デリバリーサービスなどオンラインと実店舗の融合で、消費者の有機野菜購入率も上昇。そのため、「高い」が代名詞だったオーガニック製品の価格も、以前よりも引き下げられました。
実際に、以前は1パック12元であったオーガニックレタスが、3.8元になりました。
その結果、盒馬の有機野菜売り上げは当初8%だったのが20%に上昇、2021年8月には前年比の30%以上も増加しました。現在、上海地区最大の有機農場として、生産能力の70%は盒馬に支えられています。
中国オーガニック市場の今後の課題
オーガニック製品の開発は、食品の品質と安全性を向上させ、持続可能な農業開発を促進することに貢献しています。
オーガニック認証マークや有機コード及び認証機関への情報提供は不可欠であり、本物のオーガニック製品を生産することは、中国企業の社会的責任を表しています。
しかし、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してから、農産物の輸出は安全性と品質の面でボトルネックとなっています。
オーガニック市場を精力的に発展させ、食品の安全を確保し続けることは、今後の中国と世界の農業の持続可能な発展のために必要な課題です。
日本のはるか先をいくオーガニック意識
残留農薬や違法添加物の使用、消費期限切れの食品など、食問題のニュースがなくならなかった中国。
そのイメージとは裏腹に、中国国民の消費力や健康・安全への意識の向上で、オーガニック市場は右肩上がりに伸びています。以前までは高級品だったオーガニック製品も、アリババ次世代スーパー「盒馬」によるプロジェクトにより、消費者に受け入れられやすい値段へと引き下げられました。
今後も中国国内のオーガニック市場はどんどん発展していくことが予想されますが、中国国外に対して、安心安全なオーガニック製品を窓口に、中国製品の悪いイメージを改善し、国際的な信用を得ることが今後の課題と言えます。
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