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「高品質を低価格で楽しむ」が新しいキーワードの中国コスメ新市場

中国化粧品業界の中で、登場した“小样经济”と呼ばれる、新しい市場があります。
直訳すると、”サンプル経済”。日本ではもらう非販売品と明記されているサンプル品ですが、中国ではサンプル品のみ販売するオフライン店舗が増え、サンプルは「買う物」となっています。
経済の中心の中国Z世代は、今までの世代とは違った経済観念があるのも彼らの特徴の一つです。
爆買いはせず、必要な分だけ買う彼らの経済観念が生んだ、中国の新しい化粧品市場をSheChina編集長Chikaの目線から、ご紹介します。

お買い得の大容量から脱却、進化した中国コスパ経済

少し前までは、コスパを重視し、大容量が人気だった中国ですが、この数年、「ミニチュアサイズコスメ」が流行し、“小样经济”(サンプル経済)と呼ばれる新しい市場が登場しました
数年前までは、中国国内の中古販売プラットフォームや、メルカリのようなC2Cプラットフォームで取引されていた非販売品・試供品と書いてある化粧品サンプルが、近年専門オフラインとオンライン店舗が続々オープンしています。
その流行に合わせロレアルグループが小さな自社ブランド製品やHRヘレナ、ランコム、キールズを集めたネットショップの“欧莱雅集团小美盒旗舰店”をオープンしました。

本来のミニサイズの目的

日本では販売する場合、日本ではトライヤルサイズや旅行用などコンビニで簡単に買うことができます。
最近では加熱する雑誌の付録として、製品の1回分の個包装された試供品ではなく、本製本のミニチュア版がついていることも増えました。中国では、どうでしょう。
最近の中国で、ミニチュア化粧品や、1回分のパウチ化粧品を販売するオフラインのお店が多く登場しています。
日本でデパコスと呼ばれるヨーロッパ系の高級化粧品から、日本化粧品(多くはパウチタイプの試供品)やコンビニで販売されているお泊まり用化粧品、韓国の化粧品は本製品におまけとして同梱されているミニミュア化粧品などが販売されています。

非販売品を販売?

中国で販売されている「ミニチュアコスメ」のほとんどに非販売品や試供品を記載されているものが多く、販売目的の商品ではありません。そこで色々な疑問が生まれてきます。
①非販売品とはいてあるものを、販売して良いものか?
②店頭に大量に置かれているミニサイズ製品は、どこから仕入れしたものなのか。
③単純に、これは本物?

フランス高級化粧品のラ・メールのカスタマーサービスによれば、「ミニにミュアサイズの化粧品」はSephoraセフォラ(フランス系コスメ店舗)のみを承認しており、現在ミニチュアの単品販売は行っていないという。
中国のSNS場では「ミニチュアコスメ」トラブルも多く見かけるようになりました。
トラブルの多くは、正規品と比べると大きく違う中身や肌荒れ問題でした。
金額面でも、通常サイズの物を1本購入するより、「ミニチュアサイズ」を4つ買う方が、量も多く安価で買えるなど、色々な矛盾が出てきました。
2021年1月1日に市場を規制するため、化粧品サンプルにも販売する一般化粧品と同じようにラベルをつけるなど、正規品と同じ規定が「化粧品監督管理条例」が施行されました。

2023年CBE上海国際美容博覧会にて

日本、韓国、中国で違う「ミニチュアサイズ」化粧品の目的

日本では、デパートコスメカウンターなどで貰うものお試しの「GIFT」。
韓国では、化粧品を買った際に付いてくるオマケの「With」。
中国では、選んで買う商品「Product」。
各国の「ミニチュアコスメ」の立ち位置が違います。
私たち日本人にとっては、化粧品を購入した際「お試しください」と言われ貰うことが多く「買う」場合は「お泊まり用」として購入し、商品を試すために購入することは少ないでしょう。
そして、韓国では化粧品を買った際に他店や他ブランドなどと差別化するオマケのような物で「お試し」の意味も含まれますが、通常サイズに付いてくる製品そっくりのミニチュアコスメは増量感やお得度をアピールし同梱されることも多く、購入した際の「お得感」が大きな目的でしょう。
では、中国ではどうでしょうか。
すでにこの数年、化粧品サンプル用の非販売品と書いてある「ミニチュアコスメ」は購入する商品として定着しました。なぜ、化粧品サンプルを購入するのでしょうか。中国のSNSなどで調べてみると、
「正規品を購入する前に、試したい」「ミニチュアサイズなら、購入できる金額だから(通常サイズを買う余裕はない)」「可愛いから」「旅行用に便利だから」、そして最近の中国ではスマートフォンによるQRコード決済が一般的で財布を持たなくなり、バッグが小さくなっているため「小さなバッグ用に購入」という意見がとても多かったです。

“小样经济”(サンプル経済)の中心はZ世代

「ミニチュアコスメ」の購入動機は、経済的な理由が一番多く見られ、その大半がZ世代でした。
「安価な物をたくさん欲しい」という思いは世界共通です。まだ自分のスタイルが確立されず、何を買って良いかが判断しにくいZ世代は、一通り試したい思いが強いのでしょう。
私も10代後半から20代代半ばまでは、同じ化粧品を購入し続けることはなく、次々に化粧品を変えていきました。
中国Z世代は、コロナ禍での買い溜めも体験しても、必要以上に物は買わずに、欲しいもの、必要なものだけを買うことが多いようです。
中国の富裕層が好きな化粧品や健康食品の個包装文化が、小分けにされ販売されることは以前よりありました。今回の“小样经济”(サンプル経済)を生み出すきっかけになったのかも知れません。
日本でも最近「コンビニコスメ」と呼ばれる小さなサイズの化粧品販売を見かけるようになりました。
2023年3月にローソンでは日本のZ世代をターゲットにしたコンビニコスメが登場しました。韓国コスメブランドのrom&nd(ロムアンド)の姉妹ブランドとして登場し、すぐにSNSで人気が出ました。
この商品は韓国製のコスメです。化粧品容器が安価で種類の多い韓国だからこそ、できる「ミニチュアコスメ」ブランドなのだと思います。


「高品質を低価格で楽しむ」が新しいキーワード

最近、雑誌の付録などで手に入りやすくなった、試供品ではない「ミニチュアサイズ」の化粧品。
私自身、愛読雑誌に付録に付いていたらとても嬉しいし、普段読まない雑誌の購入動機になると感じます。
1回お試しのパウチ個包装では伝わらない、製品の良さや手元にとっておきたくなる、そして本製品を購入して詰め替えたくなり購入動機に大きく影響します。
まだ日本には「ミニチュアサイズ」の販売は定着しないと思うが、各ブランドの販促物としてパウチ個包装が「ミニチュアサイズ」にシフトしていくのも1つのブランディングになるだろうと思います。

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Chika Kagami

Chika Kagami

SheChina編集長

SheChina編集長。
20年ほどの日中間での職歴、海外情報収集力と市場創造力を活かし念願の今のリアル中国を伝えるメディアを設立。 日本化粧品のiapetusでは、「断黒」という造語を作り、2021年中国美容用語のトレンド入りさせた。 趣味:旅行/ゴルフ/中国

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