芸能人の宣伝では消費者が満足できない時代になり、中国で突然現れた网红(ワンホン)。
日本でもワンホンネイルやワンホンヘアなどGoogleで検索され、雑誌にも取り上げられるほど注目を集めています。しかし、現在インスタグラムなどで出回っているワンホンの意味や印象と、中国でのワンホンの意味や印象に少しズレがあるように感じます。今回は、今知っておきたい网红(ワンホン)について、定義や彼らの仕事内容・企業側が网红(ワンホン)を選定する際のポイントなどを解説していきます。
网红(ワンホン)とは
网红(ワンホン)とは、ネット上で最も影響力を持つ人のことを指します。
中国語で网(ワン)とは「インターネット」のことで、红(ホン)は「人気者」を意味し、主にライブ配信で活躍する人たちのことをいいます。簡単に言うと中国版ユーチューバーです。中国で有名な网红(ワンホン)は、ライブ配信型ネット販売の「李嘉琦(リージャーチー)」「papi酱(パピちゃん)」など、彼らはトップクラスの网红(ワンホン)です。
中国の网红(ワンホン)の数は100万人を超えており、これらは権威性や知識、地位などを兼ね備えた影響力のある人たちです。彼らが紹介する商品は、フォロワーたちの購買決定権に影響を与えることができるので、企業側も宣伝方法に网红(ワンホン)を取り入れています。网红は言葉として、网红店(ワンホンショップ)、网红面包(ワンホンパン)など、网红〇〇という形で今注目を集めている物という意味で使われる場合もあります。
有名网红(ワンホン)のご紹介
●papi酱(パピちゃん)
元祖网红(ワンホン)の上海出身papi酱は女優、ネット番組の司会者など務め2015年から動画の投稿を始め、各プラットフォームで獲得した1年間でフォロワーが合計4400万人になった年で各種SNSや動画プラットフォームで獲得したフォロワーは4400万人に网红(ワンホン)で、農村に暮らす有名网红(ワンホン)の李子柒や滇西小哥が動画配信するきっかけになった人物でもあります。
●李子柒(リー・ズーチー)
世界的に大人気な网红(ワンホン)の彼女は、中国の伝統的な料理や生活風景をテーマとした動画を配信。YouTubeなど中国動画サイト以外にも動画配信をしています。
●易梦玲
Weiboフォロワー460.2万人の大人気ファッションブロガー、最近は中国の大人気ラッパーの彼女としても注目されています。
●丁真
歌手として活動するチベット族出身の丁真。2020年抖音(TikTok)で彼の無邪気な笑顔で人気になり、Weibo2021で最も人気のある有名人賞を受賞しました。
网红(ワンホン)とKOL(Key Opinion Leader)の違い
网红(ワンホン)とKOL(Key Opinion Leader)の違いは、明確に定められているわけではありません。
あえて違いを挙げるとすれば、KOLは一般的に影響力のある専門性の持ったwebブロガー、オンラインコンテンツクリエーター、ライブストリーマーなどのことをいい、网红(ワンホン)は主に、動画で活躍する人々を指します。
网红(ワンホン)が活用するSNSサイト
中国では情報を発信できるアプリがたくさんありますが、中でも下記のものが多く使われています。
- bilibili
- 小红书(レッドブック)
- 抖音(TikTok)
- 淘宝直播
ライブ配信で商品を販売することができる淘宝直播は、网红(ワンホン)という言葉が出てくる前から使われていましたが、最近では抖音(Tik Tok)が人気のSNSサイトとなっています。
网红(ワンホン)の仕事内容
网红(ワンホン)は趣味で情報発信しているのではなく、仕事として各企業と提携し、商品やサービスを宣伝しています。宣伝方法は動画を使い、フォロワーに向けリアルタイムで情報を発信します。
動画の内容は、主に提携企業の商品を実際に使ったときの感想や、商品の使い方・成分などを消費者目線で解説しています。李嘉琦(リージャーチー)などフォロワー数が多く、絶大な影響力がある网红(ワンホン)は、1日に6〜8億円稼ぐ事例もあります。
中国で网红(ワンホン)が注目される理由
中国で网红(ワンホン)が受け入れられる理由は、消費者がもともと企業に対して「不信感」を持っていることが背景にあります。中国国内の企業は誇大広告や偽装・悪質な商品などの問題が多く、消費者は企業の広告を信用していません。これらの背景から网红(ワンホン)は、公平な立場で商品の知識や情報を消費者に届けてくれる信用性があり、中国の消費者に受け入れられています。
网红(ワンホン)はステマ?
日本人の認識では、网红(ワンホン)はステマに当たり、企業からの広告費用をもらい作為的で正確な情報を得られないのでは?と疑問が残ると思います。中国の网红(ワンホン)は、商品やサービスの良い悪い情報を包み隠さず消費者に丁寧に回答しています。またトップクラスの网红(ワンホン)は、案件の報酬の高さで仕事を受けるのではなく、商品価値や商品の魅力で広告を受けるか判断しています。
网红(ワンホン)は消費者からの信用で成り立っており、下手な商品を紹介し信頼を失えば网红(ワンホン)の生命が絶たれます。そのため公平な立場で正確な情報を発信する网红(ワンホン)が、何千人というフォロワーたちの購買決定を左右しているのです。
企業が网红(ワンホン)を活用する際のポイント
中国などの海外では、网红(ワンホン)を活用する事例が多々ありますが、日本企業も网红(ワンホン)を活用し中国人消費者の購買意欲を刺激するケースが増えてきています。
企業が网红(ワンホン)を活用するために、抑えておきたいポイントはこちらです。
ターゲットを明確にする
中国は市場が大きく国自体の面積も大きいので、北部の人と南部の人の需要が異なる場合もあります。
そのため、自社商品・サービスの「何を」「誰に」伝えるのかを明確にしてから、起用する网红(ワンホン)を選定することが大切です。
网红(ワンホン)の選定
网红(ワンホン)を選ぶ際に気をつけたいポイントは下記です。
- 网红(ワンホン)の強みは何か
- どのような情報発信スタイルなのか
- どのプラットフォームを活用しているのか
- どのような動画配信を過去に行っているのか
- 専門知識はどのようなものか
各々の网红(ワンホン)には特徴があり、得意な分野が存在します。
先にも述べましたが、中国の网红(ワンホン)は100万人を超えており、フォロワー数も1500人程度から10万人以上のフォロワーがいる网红(ワンホン)までピンキリです。网红(ワンホン)を選定する際に、自社のサービスと関係があり、フォロワー数が多いから仕事を依頼するという単純な話ではありません。フォロワー数が少ない微网红(ウェイワンホン)と呼ばれる网红(ワンホン)は、差別化戦略でニッチなターゲットに強い影響力を持っている場合もあります。网红(ワンホン)を選ぶ際、事前に詳細をリサーチし、自社の商品・サービスの良さを発信してくれる人材を選びましょう。
网红(ワンホン)を信頼すること
企業側が事前に細かくリサーチし仕事を依頼した网红(ワンホン)に対し、細かい要求をしすぎるのは禁物です。
网红(ワンホン)にはそれぞれ自分自身のキャラクターがあり、フォロワーはその网红(ワンホン)のキャラクターが好きで集まっています。
また、网红(ワンホン)自身、自分のフォロワーが何を欲しがっているのか、どのように訴求すればいいかを認知しているため、企業側が伝え方や演出に口出しするのは避けましょう。
仕事は信頼で成り立つものです。
依頼した网红(ワンホン)を信頼し、彼らの考えを最大限に尊重しましょう。
まとめ
中国で网红(ワンホン)とは、KOL(Key Opinion Leader)のことで中国版ユーチューバーを指します。
もともと消費者は企業に対して信頼感が薄い背景のある中国で、企業側と消費者側の架け橋となって現れた网红(ワンホン)。
彼らの発信する内容は、商品・サービスの良し悪しなどを包み隠さず伝えているため、多くの中国人消費者の購買決定権を得ています。
中国を含めた海外では、この网红(ワンホン)を活用する事例が増えており、韓国では百貨店などで成果を上げています。
日本には中国人が好む安心安全高品質な商品がたくさんあり、网红(ワンホン)をうまく活用すればより多くの世界のユーザーを獲得することができるでしょう。
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