中国の「顔面偏差値社会」の到来で、急成長している医療美容。
全体的な成長率は鈍化しているものの、医療・健康の分野の中で医療美容は最も人気があり、消費者の投ずる金額も上昇傾向です。今回は、中国医療美容の最新事情をご紹介していきます。
中国医療美容の市場傾向
中国国民の生活水準の向上により、中国の人々の医療美容の需要は高まっており、企業の「顔面偏差値」をメインとした広告も合わさって、美容整形の市場も急成長しています。
このグラフより、2015年から中国の医療美容市場が右肩上がりで伸びていることがわかります。
2015年は医療美容の市場規模は64.8億元でしたが、2019年には176.9億元と28.7%の成長率で増加しています。2020年以降も着実にマーケット規模は伸びており、2023年には311.5億元の規模になると予測されています。
中国の医療美容は依然として高い成長率を維持
中国の医療美容産業は約90年を経ていて、医療美容従事者たちの努力により近年目覚ましい成果を上げています。2022年は新型コロナウイルスによる上海政府のロックダウンの影響で、成長率は鈍化しましたが、ロックダウン解除後すぐに消費が戻り成長率は維持していくと予想されています。新型コロナウイルスの短期的な混乱により、消費者のお財布の紐が硬くなったように思えましたが、混乱が収まれば医療美容市場の消費者主要は戻ってくると思われます。
中国医療美容の成長の余地
医療美容の発展で市場の競争が激化し、多くの企業がこの分野に参入してきています。中国人口の高齢化や男性の外見への意識の高まりなど、多様な顧客層の成長可能性により、今後も医療美容に対する消費意欲は高まり続けるでしょう。しかし、中国の医療美容の普及率はまだまだ低いレベルにあり、今後のさらなる拡大に期待できます。製品や技術も日々革新がなされており、高品質の医療美容を提供すべく企業側も新たな発展を求められています。
中国国内での美容整形事情の大きな問題点
中国の医療美容の発展は約90年を経ていて、美容医療従事者たちの努力により目覚ましい成果を上げてきました。その中で、中国医療美容のマーケットが直面している問題点についてご紹介していきます。
●医師の不足
消費者の需要が急増する中で、医師の供給が不足しているのが現状です。また、完全に標準化された医療美容の教育システムが構築されておらず、トレーニング方法の改善の余地があります。
●誇大広告・虚偽の宣伝
中国では、医療美容の範囲以外でも誇大広告や虚偽の宣伝をして消費者に混乱を与えている事例が多く報告されています。規制当局も介入し、業界全体の標準化を促進していますが、消費者の安全を守る意味合いでも早急に改善することが必要です。
●営業不認可の施設
医療美容市場の急速な発展により、多くの企業もこの分野に参入しています。しかし、医療免許のない施術者や営業許可を取っていないでサービスを提供している施設もあり、トラブルが相次いでいます。規制当局が積極的に調査や検査を行っており、今後も監視システムの改善が必要です。
中国国内で人気のある医療美容施術
中国では、企業側が「永久に18歳」や「25歳から老化が加速」などの広告宣伝をしているので、アンチエイジングの施術が人気です。
主な施術内容はサーマクール、シミ取りレーザーなどが多い傾向です。年齢によって人気の施術が異なり、30代まではシミ取りレーザーやフォトフェイシャルなどが多いですが、30代を超えるとアンチエイジングのサーマクールの利用割合が多くなっているのがわかります。
●热玛吉(サーマクール)
アメリカのソルタメディカル社が生産し、第5世代にアップグレードされました。サーマクールはRF(高周波)により、皮膚に50〜55度の熱を伝えます。 真皮が高熱によって刺激されることで、真皮層のコラーゲンが収縮し、その後の再生・再構築を促します。 このコラーゲンの収縮・再生によって、たるんだ肌が再び引き締まるのです。
●皮秒(ピコレーザー)
ピコレーザーは、シミやくすみに効果が期待できる医療美容機器です。従来のレーザーと異なる点は、照射の時間が短く肌のダメージを抑えて施術が可能です。ピコレーザーには、「ピコトーニング」「ピコフラクショナル」「ピコスポット」の3つの照射モードがあります。これらのモードを使い分けることで、その人それぞれの悩みにあった施術をすることができます。
●光子嫩肤(フォトフェイシャル)
フォトフェイシャルはレーザーと違い、シミや雀斑の原因であるメラニン色素や赤ら顔の原因であるヘモグロビンなどの色素に刺激を与えて肌の悩みを改善する施術です。素肌にダメージを与えることなく、問題部分を改善することができると同時に、コラーゲンを作る線維芽細胞を刺激し活性化させるので、弾力のある肌への効果も期待できます。ダウンタイムもないので、施術後すぐにメイクをすることができ、中国でも人気の施術です。
●肉毒杆菌注射(ボトックス注射)
ボトックスはしわ・たるみ の予防やアンチエイジングに効果があります。中国でも若い世代を中心に人気のある施術で、若い世代には特にフェイスラインを改善するエラボトックスが選ばれています。効果はだいたい6〜8ヶ月以上持続するので、半年に一度のメンテナンスで継続して行う人がほとんどです。
中国で人気のある「なりたい顔」
日本でも「なりたい顔ランキング」があるように、中国でもなりたい女性の顔が存在します。
●ファン・ビンビン(范冰冰)
2017年の第70回カンヌ国際映画祭でグランプリの「金獅子」を争うコンペティション部門の審査員に選ばれたことで、世界に名を轟かせたファン・ビンビン。日本では2010年から2011年に、サントリーウーロン茶のCMで起用された実力派女優です。華やかな美貌と力強い目力で、中国では「なりたい顔」ランキングで長年トップクラスの人気を保ち続けています。
●アンジェラ・ベイビー(angela baby)
「なりたい顔No.1」の栄冠を長年誇る、アンジェラベイビー。男女ともから超絶な人気を集めています。彼女の祖父はドイツ人であることから、もともとヨーロッパのお人形のような美しさを持っています。
●チャオ・リーイン(趙麗穎)
中国河北省の農村出身で、日本でも注目を集めた人気ドラマ「お昼12時のシンデレラ」に主演し、女優としてブレイクしました。優しげな印象で、親しみやすく、かつての「中国のなりたい顔」の常識を破って「中国のなりたい顔NO.3」にランキングされました。
●ガオ・ユアンユアン (高圆圆)
ガオ・ユアンユアン (高圆圆)は美しい外見はもちろん、品のある女優として人気です。2013年にTVドラマ「咱们结婚吧(私たち結婚しましょう!)」が大ヒットし、「国民の女神」の称号を得ました。ファッションの女王としても認められており、彼女の選ぶ服はどれも優雅さを際立てるスタイルとして有名です。
現在、インターネットの普及に伴い、なりたい女性象の変化のスピードが早まっています。数ヶ月前はフェイスラインがVであることが人気だったのに、数ヶ月後には丸いフェイスラインが好まれるようになったり、美の定義はコロコロ変わります。それに伴い、医療美容の世界でも消費者のなりたい顔に合わせた施術がどんどん更新されていくでしょう。
2022年は中国の「美容経済」は爆発期
近年の中国での医療美容市場は、医療現場と消費者の動向を今後理解していくことが中国医療美容の発展の鍵となっています。その一方で、制度や標準化、トレーニングのシステム化などが追いついていない状態で、医療従事者の不足や不正規な業者が現れているのも問題です。コロナ前まで、日本や韓国旅行の目的が医療美容の中国人が多く来日されました。彼らの多くは自国での医療美容に不安を感じ、海外で医療美容を受けている人が8割くらいでした。コロナ禍で海外に行きにくくなり、中国人は中国で美容医療を受けざるおえない現状、医療美容機関は、自社ビジネスの優位性を理解し、消費者に安心安全のサービスを提供できるよう洗練されたシステムの構築が必要とされています。中国の医療美容業界は改善の余地がたくさんあり、中国国民の生活水準の向上と相まって、今後も成長し続けるでしょう。
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