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福島第一原発事故の処理水問題から分かる中国マーケット参入の心構えとは?

みなさんこんにちは。今月からNUESEのメンバーに加わった加藤彩子です。
先日、中国国内で日本製化粧品の不買運動が起こったことをご存知でしょうか?その背景に何があったのか、またその一連を通じて得た学びや中国ビジネスに関わる上でのコツについて、読者の皆さんにシェアしたいと思います。

発端は福島第一原発放射線処理水の海洋排水

タンク約1000基が立ち並ぶ福島第一原発 中日新聞Webより

直近では、今月7月4日 規制当局である国連の国際原子力機関(IAEA)が日本政府の計画は「IAEAの安全基準に合致している」とする安全審査の結果を公表。IAEAと原子力規制委員会の安全性に関する評価は、東京電力が計画する海洋放出を後押しするものとなりそうです。

処理水の海洋放出に関して、かねてより最も明確に非難をしてきたのが中国です。先月には中国外務省の汪文斌報道官が、海は「日本の私的な下水道ではない」と述べ、海洋放出は近隣諸国や太平洋の島諸国にリスクをもたらすと警告するに至りました。

国外務省の汪文斌報道官、日本の放射能処理水の海洋放出を厳しく非難 新浪看点より

「処理水が海に放出されれば健康被害が出る」中国のネットユーザーが日本製化粧品のボイコットを呼びかけ

この問題に関連して、中国マーケットで起こったのが日本製化粧品に対する不買運動です。先月中国では処理水に関するデマが広がり、安全性が疑われるとする日本の化粧品リストが作成・拡散される事態に。さらに中国版ツイッターとも言われるウェイボーでは、関連するハッシュタグが3億回閲覧されるなど大きな話題となりました。

今回の動きは放射能処理水の海洋放出をきっかけにしたものですが、実はこれ以外にも、日本側が中国のSNSなどで発信する場合に注意が必要な「敏感日」というものがあることをご存知でしょうか?主に日中関係の歴史にまつわる日のことで、例えば8月15日の終戦記念日などが挙げられます。
敏感日の当日には発信を控えること、またこの前後では反日感情の高まりから売り上げに影響が出る可能性があるということは、中国ビジネス上での基本知識と言えます。国際経済大国第2位である中国においてSNSのキャンペーンの影響力は非常に大きいため、注意が必要です。

中国マーケットに挑戦するときの心構えとは?

化粧品に関わらず、海外の方々が日本の製品に対して思い浮かべるのは「高品質」や「安全・安心」というキーワードではないでしょうか。これまでたくさんの日本企業による弛まぬ努力で新たな製品開発、また改良が重ねられた結果、今日の「日本製は高品質」というイメージが海外でも確立し、定着してきました。弊社はそのような多くの日系企業様とタイアップし、中国市場でのプロモーション支援をしてまいりました。

その中で日々感じていることは、たとえどれだけ日本で歴史があり、評判が高いブランドや商品であっても、海外という新しい市場に参入する時には皆「はじめまして」だということです。最近、あるお客さまから「海外マーケットではこれまでの”安全・安心”を再定義して見直すことが、顧客の信頼を得る第一歩」という言葉をいただきました。「日本の商品であれば安全・安心」というイメージに甘んじず、初めて自社の商品に触れる海外のお客様に対し、いかに安全を保証し、安心していただくか。販促と同時に、真の「安心・安全」を得るためのエビデンス作りやデータ収集が欠かせないと言います。
現に先月起こった不買運動でも、関わる日本のメーカーサイドは声明を出し、ネットで拡散されている情報が根拠のないデマであるということを、エビデンスを示しながら事態を収拾させたのです。

市場が変わればまた「一から起業するような気持ち」で、またそれが海外市場であれば信頼を得るためのエビデンスを作りながら進めていくこと。中国ビジネス参入のコツとして、本日はシェアさせていただきました。

中国ビジネスでの課題があれば、NUESEへ!

日本に住む中華圏女性の支援をメインの目的とし、3年間で150回以上のイベントを実施。
企業の中国推進のコンサルティング、マーケティング、プロモーション、MCN(KOL/KOCマネージメント)、人材育成を中心に、日本と中華圏を繋ぎます。

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