「顔面偏差値経済」の到来で、男女の性別関係なくスキンケアやコスメの市場売り上げが伸びています。
それとともに、子ども用化粧品のマーケットも、2年ほど前から成長してきています。
今回は、中国で注目されている「子ども用化粧品」についてご紹介してきます。
2022年子ども用化粧品の規制施行（儿童化妆品监督管理规定）
化粧品の若年化に伴い、子ども用化粧品の需要が高くなっている中国。
その需要に応えるべく、企業側も子ども用化粧品の開発・販売に勤しんでいますが、それら商品を規制するために「子ども用の規制（儿童化妆品监督管理规定）」が2022年1月1日に施行されました。
子ども用の規制（儿童化妆品监督管理规定）が施行された背景
子ども用化粧品の規制（儿童化妆品监督管理规定）が施行された背景には、製品の効果を誇大広告したり、医学用語を使用したりする企業を取り締まるために制定されました。
2021年、廈門市のある企業が無許可で子ども用化粧品を製造し、工場名を偽造するなどの違法行為を行っていました。発覚後、政府は化粧品製造及び今後の営業活動を禁止する罰則を科しました。このような悪質な業者が多くあり、化粧品を使用する子どもが安心して使えるように、国が主体となって管理をする必要性がありました。
また多くの親は「子ども用化粧品」に対する概念がありません。そのため、「子ども」と書かれた言葉と、ウサギやカエルなどのキャラクターがプリントされたパッケージを見ただけで製品を購入する傾向にあります。
子ども用化粧品に対する消費者の意識を、さらに向上させる必要があるのです。
子ども用化粧品とは
「子ども用化粧品（儿童化妆品监督管理规定）」では、子ども用化粧品とは、12歳未満（12歳を含む）の子どもに適した洗浄機能を有する化粧品を指すことが明確化されました。
「化粧品分類規則・分類目録」によると、子ども用化粧品の効能表示は、洗浄、保湿、ヘアケア、日焼け止め、鎮静、リフレッシュ、メイク落とし、美容、アロマなどです。つまり、子ども用保湿クリームや子ども用日焼け止めなど、12歳未満（12歳を含む）の子ども専用商品は、子ども用化粧品に含まれることが法律で定められています。
子ども用化粧品表示「小金盾（リトルゴールデンシールド）」
子ども用化粧品の認知度を高めるために、国家药监局（国家食品薬品監督管理局）は子ども用化粧品のロゴ「小金盾（リトルゴールデンシールド）」を発表しました。
2022年5月1日から、登録または届出申請する子ども用化粧品には、このロゴの表示が義務付けされます。
また、以前に登録・申請していた企業は、2023年5月1日までに、製品ラベルを更新完了する必要があります。
市場の傾向
中国の「顔面偏差値経済」は、子どもの世代から始まっています。
2019年〜2024年のデータによると、世界の子ども用化粧品市場の成長率は8.66%、約100億元になると予想されています。子ども用化粧品の全体的な売上高は1,200％以上増加し、将来子どものスキンケア製品の市場規模は500億元に達し、子どもの化粧品は前年比の300％増加すると言われています。
若い親たちの購買力と子育ての概念の変化に伴い、子育てに対する投資は増加傾向にあります。
子ども用化粧品の問題
現在、子ども用化粧品市場はたくさんの製品があり、品質が安定的ではなく、表示ラベルも不適切なものが多くあります。
●誇大広告
「この化粧品は口に入れても安心！」という「食品級」と言われる、誇張された宣伝が一時期出回りました。
親は子どもに安心安全なものを使わせたいという思いがあり、その心理を利用した広告で多くの消費者が「食品級」の子ども用化粧品を購入していました。
これを受けて中国消費者協会と中国健康管理協会の化粧品開発作業委員会が共同で、一部の企業が「食品級」という誇大広告を行っていると消費者に注意喚起を行いました。
●違法な添加物の使用
企業が違法な添加物を使用した化粧品を販売し、その化粧品を使用した赤ちゃんの顔が腫れたということが報告されました。また、その商品を長く使用すると子供の発育に影響を与えるとし、販売した企業の取締りが行われました。
●化粧品とおもちゃのラベル
子ども用化粧品の表示ラベルはまだ不完全なものが多く、購入する際に注意が必要です。例えば、子どもの化粧品とおもちゃは全く別の製品であり、法的基準も異なります。しかし、両者が混在する理由は、一部の企業が化粧品の厳格な届出や承認申請をしておらず、意図的に一部の子ども用化粧品をおもちゃとして販売しているのです。そのため、違法な添加物や抗生物質などを使用し、子どもの肌にトラブルが起きたという報告がされています。
子ども用化粧品の選び方
子ども用化粧品を選ぶ際は、大人が使っているものではなく、必ず子ども用化粧品を購入するようにしましょう。子どもの肌は大人の肌と違い未熟なため、成分が大きな刺激になってトラブルになる可能性があります。
他にもこれらのことに気をつけて子ども化粧品を選びましょう。
●安全性と落としやすさ
小金盾（リトルゴールデンシールド）の表示がついており、おもちゃとしてではなく化粧品として販売されているものを選びましょう。
誇大広告やホルモン成分などが添加されていない、ベーシックな成分で構成されているものの方が安全です。
また、石鹸などで簡単に落とすことができるかもチェックしましょう。
●子ども用化粧品専門のメーカーアイテム
子ども用化粧品は、おもちゃメーカーが製造している商品もありますが、子ども用化粧品専用のメーカーもあります。規制が新しくできたばかりの中国では、子ども用化粧品専用のメーカーが作った化粧品を選ぶ方が安全性が高いでしょう。
●国家药监局（国家食品薬品監督管理局）のアプリに登録
国家药监局（国家食品薬品監督管理局）のアプリに登録し、購入した化粧品の商品情報を確認することができます。このアプリを活用することで、登録してある情報とアプリ上の情報が異なっていないかを確認できます。
代表的な商品（ブランド）の紹介
●精灵梦叶罗丽
「精灵梦叶罗丽」は中国の3Dアニメで、人間の世界を征服しようとする妖精の国の女王マンドラと人間の優しさを信じる妖精辛灵（シンリン）の物語です。
江蘇省消費者保護委員会の調査によると、通常子どもがどの漫画を見るのが好きかという選択枠で、「精灵梦叶罗丽」は第3位にランクインしています。
そのため関連グッズが大人気で、中でも子ども用化粧品は2022年のヒット商品です。
●捷雅妮
2015年に設立された子ども用化粧品に特化した工場設備のある会社です。独自ブランドの「宝熊&雅妮公主」「IP品牌梦菲少女」などが製品化されており、国際的なBSCI（Business Social Compliance Initiative）を取得し、品質面、環境面、労働面、安全面で安心できる工場環境であることを証明しています。
●顺锋隆
広東省汕頭市の会社で、品質第一、評判第一を追求しており、製品は中国国内はもちろん世界中にも輸出されています。「中国城海区のおもちゃとギフトの都市」のシンボルとして、評判のある会社です。
子ども用化妆品の今後の展望
中国の「顔面偏差値経済」は、大人だけではなく子どものマーケットにも浸透し、子ども用化粧品を製造する会社も増えています。しかし、その中に違法成分の添加や許可を得ていないで販売してる悪徳な業者も多くあり、トラブルが多く安全性に対する不安が叫ばれています。国家食品薬品監督管理局が2021年よりリスク監視を開始していますが、まだ法の整備が安定していなく、子ども用化粧品の使用に不安が残ります。
今後化粧品事業者は、子ども用化粧品を販売する責任を明確にし、消費者に健康と安全を保証する製品の提供により一層努める必要があります。また消費者自ら、子ども化粧品とは何か、どのような化粧品が子どもに使っても安全なのかを知ってもらう必要があるでしょう。
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