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中国トレンド

30兆円越えの急速に伸びる中国のペット市場

生活水準の向上や経済的負担が年々大きくなる中国では、独身や晩婚世代が増え、そのため癒しを求めてペットを飼う独身世帯が急増しています。
その規模は2021年で300億ドルになり、国内の消費者市場で最も急速に成長している分野です。
今回は、中国のペット事情についてご紹介していきます。

犬と猫の経済・中国のペット産業の現状

2021年9月19日、JD.com(东京)のペット戦略アップグレード会議(东京宠物战略升级发布会)によると、中国で猫と犬を飼育している世帯は1億2000に達し、飼育の普及率が20%に達しました。
欧米市場と比べると普及率は1/3にすぎませんが、ペット飼育世帯の消費レベルは他国と同じとなっています。
インターネットショッピングが発達している中国では、ペット飼育世帯の71%はオンラインショッピングでペット用品を購入し、そのためペットのサービスはより身近なものとなっています。

ペットブームの背景

社会経済環境の変化に伴い、孤独を感じる人が増えてきています。
「どのくらい孤独を感じたか」という質問に対して、17.8%が「ほとんどの場合、孤独を感じている」と答えました。
また、17.4%が「自分の孤独感が特に辛い」と回答。
その寂しさを紛らわすためにペットを飼う人が増えました。
2017年の「中国ペット市場白書(中国宠物市场白皮书)」の調査によると、ペットを所有する上で、心の栄養と健やかな生活のためが1番多くなっています。

中国で人気のペット

中国で人気なペットは、依然として猫と犬です。
2022年の数字では、犬を保有している人が58.2%で、猫は42.9%でした。
その他ニッチなペットも増加傾向で、熱帯魚や昆虫・鳥・ハムスター・爬虫類・ウサギなどをペットとして飼育する世帯が増えてきています。

2021-2022年中国宠物食品市场及消费行为监测报告

ペットを飼育する人たちの収入分布

生活水準の向上とライフスタイルの変化により、ペットを飼育する世帯が増えた中国。
下記のグラフより収入でペットの保有割合が変わってくることがわかります。

2022年国内宠物行业消费趋势观察分析 宠物经济消费市场依旧景气

2021年度では、ペットを飼育する飼い主の収入は4,000〜9,000元の世帯が最も多いことがわかります。
2020年と比較すると30〜40代以降の世代の飼育は減少しており、それとは逆に10〜20代のペットの所有者は増加しています。
新規のペット飼育世帯は若い傾向にあり、90〜95年以降の世代が多くなっています。
この世代のペット飼育世帯は、ペットへの消費にとても積極的で高い価格でも躊躇せずに購入する傾向にあります。
このような若い世代は品質やファッションセンス・ペットの健康に対してのニーズが多くあり、サービスを提供する側も若い世代が多くなっているので、これらのニーズをうまく取り入れマーケットを拡大しているのです。

ペットにかかる費用

調査結果によると、ペット飼育者が毎月ペットにかけている金額は500〜2000元前後であることがわかります。

2021-2022年中国宠物食品市场及消费行为监测报告

多くの消費者は、ペット用品に関してストック購入する習慣があり、中国の大規模セールの日である「618」や「双11(ダブルイレブン)」などに大量購入し、毎月の消費を抑えています。

ペットの売り場

インターネットサービスの普及が著しい中国では、ペットを購入するのもネットという人が53.2%となっています。

宠物行业数据分析:2019年中国53.2%宠物主养宠产品购买渠道偏好为线上电商

アリババグループのタオバオ網でも「宠物chongwu」と入力するとあらゆるペットが出てき購入することができます。その中に、クラゲやウーパールーパーなどの珍しい動物も販売していました。その次に続くのがペットショップで、近年特に上海ではペットショップが急増しています。

ペットの登録は必要か?

中国では、犬を飼う人の増加とトラブルの増加を回避するため、世帯が飼育する犬を一匹に限定する政策を取っています。
そのため、犬をペットとして飼う場合のみ飼育登録と予防接種が必要です。
登録制が定められた背景には、上海市内で犬に襲われるといったトラブルが毎年10万件以上報告されており、登録されていない犬に噛まれて死亡したという事件も発生しています。
2011年から始まった政策ですが、当時2匹以上犬を飼っていた世帯に大きな混乱を招きました。
これらの世帯は、政策が始まった1ヶ月以内に新たな飼い主を探し登録を完了させなければならず、飼い主からの反発が相継ぎました。
また飼い主が産んだ犬については、生後3ヶ月に達する前に新たな飼い主を探すか、政府公認の施設に引き渡すことが義務付けられています。
当時、民主主義を再構築するという課題があった中国ですが、その意向とは全く異なる政策で、世界からも反感を買いました。
ちなみに登録に関して、猫や他のペットは現在のところ必要ありません。

ペット用品市場

ペット用品市場はペットフードを核として、医療・日用品・各種サービスが増加しています。

ペットフード

ペットフードは、ペットライフに必要不可欠なものの一つです。
主にペットの主食、スナック、ヘルスケア製品の3つのカテゴリーに分けられます。
その中でも主食の需要が最も高く、主にドライフード・セミドライフード・ウェットフードと細かく分けられています。
購入されているペットフードの多くは、国内ブランドを選択する消費者が多くなっており、その割合は59.6%となっています。

2021-2022年中国宠物食品市场及消费行为监测报告

ペットの日用品

ペットの日用品には、主にトイレ用品やペット用ベッド・ケージ・食器・給水器・ファッションなどが含まれます。
調査によると、中国のペットの日用品はより細分化されており、ペット日用品が38.8%、ペットのクリーニングとケア製品は38.2%、ペットの衣類と旅行製品は16.9%を占めています。
飼い主はペットの掃除やケア用品・おもちゃなどの娯楽にも視野を広げるようになってきており、これらの新しいカテゴリーは、今後のペット市場への新たな成長につながると予想されます。

人気の海外ブランドのペット用品

ペット用品の需要の59.6%が、国内のブランドに集中していますが、13.5%は海外ペット用品の需要があります。
ペット用品の主な輸入国は、アメリカ・カナダ・ニュージーランド・ドイツ・フランス・イタリア・タイ・台湾・デンマーク・オーストラリアなどで、日本の製品マーケットは他の国に比べて非常に小さいのが現状です。
タオバオで日本のペット用品を調べてみると、ペットショップのコジマやライオン商事株式会社などの商品が出てきます。
中国では、ペット市場は今後どんどん伸びていくマーケットであるので、中国で安心安全神話の強い日本製品の参入は大きなチャンスとなることが予想できます。

洗練されたペットサービス

生活がより豊かになった中国では、ペットのサービスも細分化され、品質やサービスの質に対する要求が高くなってきています。
まだまだハイクラスに向けてのサービスはブルーオーシャンで、今後より競争が激しくなることが予想されます。

充実した巨大ペットサービス施設

ペット所有者がますます増えている中国では、ペットと一緒に休日を過ごす人の割合も増えています。
そのため、ペットのグルーミングや医療・ショッピングが一緒にできる総合施設がショッピングモール内に参入し始めています。
その中でも狗道宠物DOGWAY、電力宠物公司、极宠などは代表的なブランドです。

掏空年轻人钱包的宠物经济,“大而全”与“小而美”并存

2022年の始めに、蘇州のペットサービスブランドの「狗道宠物DOGWAY」は、上海で旗艦店をオープンさせました。
2階建ての店内は、1階がペット用品の展示・販売エリアとなっていて、2階はペット美容室・触れ合いエリア・猫ホテルとなっています。
「狗道Goudao」は18年間ペット業界で実績を作ってきて、蘇州に9店舗、今年上海に2店舗オープンしています。
独身世代が今後も増えると予想される中国では、このような店舗がどんどん増えていくことが予想されます。

電力宠物公司

掏空年轻人钱包的宠物经济,“大而全”与“小而美”并存

電力宠物公司は、ハイクラスの顧客へ専門的なサービスやサポートを提供しています。
製品はルイヴィトン やTiffanyといった高級ブランドを含むものを用意し、ペット美容室も飼い主のニーズを満たすようなケアプログラムを提供しています。
他の施設と違うところは、様々な活動やテーマのポップアップを頻繁に行い、有意義なペットの話題を提供し、顧客の社会的属性を満たす活動をしています。
ペット需要の高度化で、電力宠物公司はショッピングモールの新たなビジネスモデルが誕生させました。
より人目を引くような店舗と演出を実現し、飼い主とペットがワクワクするようなサービスを体験することができます。

掏空年轻人钱包的宠物经济,“大而全”与“小而美”并存

ペットのための無添加食品

中国国内ブランドの「黑米先生(Mr.Heimi)は、科学的な研究に基づいたペット向けの生鮮食品を開発しました。

掏空年轻人钱包的宠物经济,“大而全”与“小而美”并存

製品の全てのラインは「無添加」にこだわり、ペットの健康を考えるインスタント食品を作りました。
ペットの肥満が深刻になっている中国では、このようなペット向けの健康食品はニーズが強くあり、今後マーケットが広がっていくでしょう。

人口と共に増加するペット。

生活水準の向上や独身・高齢化などを背景に、ペットを保有する人が急増している中国。
犬や猫を保有する割合がほとんどですが、熱帯魚や鳥などニッチなペットをネットで購入する人も多くいます。
ペットフードや日用品の要求も徐々に高くなってきており、特に若い世代はペットのために安心安全や品質の良いものをシビアに選ぶようになってきています。
中国のペットサービスは最も発展が著しいマーケットとなっており、関連するサービスのニーズも高まっており、今後の成長が楽しみであります。

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Chika Kagami

Chika Kagami

SheChina編集長

SheChina編集長。
20年ほどの日中間での職歴、海外情報収集力と市場創造力を活かし念願の今のリアル中国を伝えるメディアを設立。 日本化粧品のiapetusでは、「断黒」という造語を作り、2021年中国美容用語のトレンド入りさせた。 趣味:旅行/ゴルフ/中国

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