「300億円」、「多国籍企業」、「中国人女性社長」…
3年前の金社長へのインタビューでは、彼女の「私の人生は私が決める」という経験に焦点を当て、不可能を可能に変えてしまう頑強な女性像を見せていただきました。
3年振りの再訪、彼女は社長に就任し3年目です。初めは、経営者としての経験の共有の予想しましたが、意外にも金社長はいつもの「リラックス感」を持っていました。彼女は私たち中国人女性に、ビジネスから家庭まで、外見から内面まで、またそれ以外の側面や、別の人生のステージから、新しい力を与えてくれました。
職場での役割に応じて行動する： 「存在から成就へ」
Q：社長に就任した3年前と比べて、仕事内容やビジネスの発展にどのような変化がありましたか？
A：2021年より正式にARTISTIC CO. GLOBALの代表取締役に就任し、今年社名をA. GLOBALへ変更しました。2017年の会社設立以来、私は創業メンバーとして、成長をずっと見てきました。事業内容よりも、私にとっては「立場」が変わったことの方が大きいです。
経理職として入社以来、営業職へ至るまで、社員として、当時の私は自分自身の努力や奮闘が中心で、機会や環境の価値についてあまり深く理解していませんでした。経営者になった最初の数か月間、私はこの会社を引っ張りたいと考え、個人の価値を最大限に引き出す努力をすることが多かったです（笑）半年後、私は自分だけではないことに気づきました。周りの人々が私を助けてくれて、皆の黙々としたサポートのおかげで、私は今の自分を達成することができました。
したがって、“その立場になって初めてわかる”という言葉通り、問題が発生した時も「社長」という立場だからこそ考えられる問題発見や解決の切り口がたくさんあるのです。経営者になった後、私の頭の中には常に「企業の存在価値は一体何か？」という問いがあります。当社の経営理念は「顧客と従業員双方に物質的および精神的な豊かさを追求すること」です。それは私たちに利益とWin-Winの関係を構築する必要があることを思い出させ、持続可能な好循環は実現できることを教えてくれる指針のようなものです。
Q：経営者として、会社にとって最も重要なことは何だと思いますか？
A：従業員は企業の最も重要な資産であり、人材は企業の成長の中核的な要素です。経営理念では、顧客と従業員を優先させていますが、最終的には企業の長期的な発展は「人」に帰すると思います！いかに皆を守るか、皆が成長する土壌と寛容な環境を作るか、皆の潜在能力を最大限に発揮するか、人材育成は経営の重要な要素であり、当社の経営理念でもあります。
私は従業員に「志は高く、謙虚であるべし」と言っています。自分のキャリアに制約を設けないでください。自分で会社を設立できる能力を持っている人は多く、このように才能のある人々は会社に在籍している間に会社に価値をもたらしました。私は当社が従業員一人ひとりがステップアップするための「踏み台」になることを願っています。この踏み台が高いほど、彼らの視野が広がり、成長が速まります！
会社は個人の財産ではなく、私はその代表になるために働いているわけではありません。私自身に設定した目標は、45歳までに「安定」し、50歳には優秀な人材に場を譲り、若い人に機会を提供することです。会社を大きくすることよりも、私は私たちのブランドを最高の状態に維持することを望んでいます。
最善を尽くす：自分を信じ、運命を受け入れる
Q：この「審査される」、「比較される」世界では、多くの女性が出身地や学歴によって自己評価が低くなることがあります。金社長の若い頃の話や学びの経験を考えると、出発点は決して恵まれていたとは言えないと思います。あなた自身を「鍛えた」方法、キャリアまたは精神的にこれほど強い女性になることができた秘訣を教えていただけますか？
A：私は自分の能力で学び、自力で生きることを常にしていたので、自己評価が低いことはありませんでした。物質的には裕福ではなかったかもしれませんが、両親と村の人々から十分な愛情を受け、心の中が豊かであることを確信しました。これは私が自分を卑下しない理由だと思います。
学歴は重要ですが、自分自身がどこにいてもで長く続けることができるのは「学力」であり、これは実践と経験を積むことで鍛えられます。出発点では恵まれていなかったかもしれませんが、私は自分に能力があることを証明し、発揮できることを示すことができました。これが最も重要だと考えています。
さらに、メンタルが非常に重要だと思います。どうしようもない部分に対処できるメンタルが大切です。私たちはよく「自分らしくいる」と言いますが、それは「他人と比較しない」というだけでなく、「自分ができることをする」と言うことも含みます。問題に直面したとき、困り事を考えず、積極的に考えることが大切です。既存のリソースの中で、何ができるかを考えます。物事には二面性があることがよくあり、いくつかの「問題のように見えること」は実際には思ったほど悪くないこともあります。大事なのはメンタルです。
Q：あなたとの会話の中で、「一心不乱」という言葉が浮かびました。あなたは非常に落ち着いていると感じます。感情、価値観、論理的思考、内面の確固とした軸が外部の干渉を受けないように思えます。
A：2021年に前社長が突然亡くなったことで、多くを考えました。一緒にビジネスを築いた仲間だったため、感情的にも衝撃を受けました。名誉と利益、得るものと失うもの、何もかもが永遠に変わらないものではないことに気付きます。それらはすべて「身外のものである」と言います。
生きることは選択ですから、自分らしく活かすべきです！これらの年月で私の寛容度は高まりました。人と人の違いは差ではなく、あくまでも違いです。違いを受け入れると、過度に感情的にならないし、すべてが正常であることに気付くでしょう。
成長への道で：自分自身を許し、他人を許す
Q：前回のインタビューでは、主に仕事に焦点を当てました。今回は子供の教育について共有していただけますか？
A：私は娘に感謝しています。彼女を育てる過程で、私は人生を理解し、尊重と受容を学びました。彼女は私を育て、成長させてくれました。
私は子供が「本来の自分」を持っていると信じています。私たちがすべきは教えることではなく、目を覚まさせることです。自立とは、自己肯定感、自分の選択、そして進む決心を含みます。先ほど「自分らしく」と言いましたが、私たちは自分自身に自分らしくいるように言い聞かせますが、子どもが自分らしくいることも許容しなければなりません。これは親にとって難しいことですが、こらえなければなりません。
仕事が多忙なため、娘と一緒にいてあげられる時間は十分とは言えませんが、私の物事への姿勢が確かに彼女へ影響を与えていると思っています。例えば、判断能力、変更できることへの考え方等。今年で18歳になりますが、心が強く自立した娘でうれしいです。
Q：あなたが1980年代生まれであることを知らない人が多いかもしれません。経験と組み合わせて、日本企業で「中年の危機」、「外国人」、「女性」という複数のアイデンティティを持つ経営者として、日本で活動する中国人女性に対してどのような「先人の経験」を共有できるか教えていただけますか？
A：私の経験を基に、以下の3つの点を参考にしてください。
1.行動で証明する。日本にいる皆さんが「自分に誇りをもつ」ことを望んでいます。たとえ外部からどんな評価を受けたとしても、自分を過小評価しないでください。世界には「絶対」や「正解」などありません。自分が何かに悩んでいるときに、いかに行動するか、日々自問自答してください。変化を恐れることはありません。自分の「快適な場所」から出ることは簡単ではありませんが、時には苦痛は成長の証です！
2.結果で語る。差別に直面たとき、私は同じやり方で応じるのではなく、結果で語ることを選びます。自分が選んだことは積極的に考え、感情的に辞職したいと思うとき、むしろ自分が光り輝くべきだと自分に言います。これが周りを見返すための最高の方法です！
3.異なるものを求める。日本人の利点を受け入れつつ、外国人の身分を認識し、自分と日本人との違いを認めること、彼らと完全に同じである必要はありません。争いごとが解決できないときは、議論しないでください。頑なな反応は唯一の選択肢ではありません。異なるアプローチを採りたいと思います。例えば、私たちが「外国人であるからこそ」という立場を最大限に活用して、自分自身の権利を勝ち取りたいと思います。
NUESEからのコメント
金社長へのインタビュー前、彼女に対する外部からの評価は「パワーが人を圧倒し、波を引き寄せる」というものでした。しかし、本人に会ったとき、控えめなメイク、いつも微笑んでいる表情、安定した感情、論理的な思考、確固とした内面を持っており、外部からの干渉にも揺らがない様子が伺えます。 インタビュー後、金社長のリラックス感はどこから来るのかを考え続けています。私の答えは「恐れ知らず」です。挑戦を恐れず、変化を恐れず、逆境を恐れず（彼女にとっては逆境ではない）、このような「恐れ知らず」の姿勢はすでに芯に刻まれています。
P.S. 座った瞬間から、輝く瞳と白く美しい歯、微笑みが絶えず、心の中に「中心軸」があるかのような金社長をスターのように感じました。見てください、笑顔の女性はいかに美しいか！
