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中国トレンド

コロナ禍で再燃した越境ECブームの現状とは。

インターネットの普及により、世界最大のEC市場を持つ中国。
これから越境ECを始めようと検討している人たちにとって、中国は人口も多いため最大のマーケットとして魅力的な国だと言えるでしょう。
しかし、言語も文化も異なるため、参入する前に中国のEC市場を調査することは絶対に必要です。
今回は、中国で使われている越境ECサイトをご紹介していきます。

越境ECとは

越境ECとは、インターネット上のショッピングサイトを利用して国際的な商品取引を行うことです。
主に日本国内消費者に向けてというより、海外の消費者に向けて日本国内の商品を販売を目的とし、その規模はどんどん拡大しています。
中国では日本の家電製品や衛生用品のニーズがあり、それらがよく購入されています。

2021年度の越境EC市場規模

2021年度に経済産業省が出しているこちらの図は、中国と日本・アメリカの越境ECによる売買の規模を表しています。


この図から、日本製品を中国国内から越境ECで2兆1,382億円購入していることがわかります。
新型コロナウイルスの影響で多くの国民が海外旅行に行けない中、越境ECは中国人消費者の生活にとって、なくてはならないものになっています。

中国で使われる越境ECサイト

中国国内のECサイトで圧倒的なシェアを誇るのが「アリババグループ」です。
アリババグループの越境ECサイトは「天猫国際(Tモール・グローバル)」や「考拉海購(コアラ・グローバル)」で、越境ECシェアの過半数を占め、中国国内消費者が日本の製品を購入する際のプラットフォームとして役立っています。
また中国で2番目にECサイトのシェアを占める京東集団も「海囤全球(JD worldwide)」という越境ECサイトを展開しています。

天猫国際(Tモール・グローバル)

「天猫国際(Tモール・グローバル)」は、アリババグループが運営するBtoC越境ECサイトです。
「天猫国際(Tモール・グローバル)」と「天猫(Tモール)」の違いは、「天猫国際(Tモール・グローバル)」は外国人法人も出店できるのが特徴となっています。
「天猫国際(Tモール・グローバル)」は、「高品質・安全」をウリにしているので、偽物や模造品などを販売できないよう厳しい審査とチェックを行っています。
そのため、中国国内はもちろん海外でも信頼度が高く利用者する人が増え、それに伴い出店企業も増加傾向です。

天猫国際(Tモール・グローバル)に出店している日本企業
中国人消費者は、「天猫国際(Tモール・グローバル)」で、主にベビー用品や美容関連商品を購入することが多く、カネボウやPOLA、ユニ・チャーム、ミキハウスなど多くの日本企業が出店しています。
その他、無印良品やユニクロも出店しており、人気を博しています。

海囤全球(JD worldwide)

中国で2番目にECサイトのシェアを占める京東集団の越境ECサイトです。
2015年に日本製品専用サイトの「日本館」がオープンしていることから、日本企業が多く出店しています。
「天猫国際(Tモール・グローバル)」と異なり、「海囤全球(JD worldwide)」は電化製品が人気です。
そのためアリババグループとは戦略を変え、実店舗を構えるなどして消費者に付加価値を提供しています。

また中国で最も利用されているSNSである「Wechat(微信)」を運営するテンセントとも業務提携し、商品の問い合わせをWechat(微信)ですぐにできるようにするなど、利便性が高いと支持されています。

「海囤全球(JD worldwide)」に出店している日本企業
「海囤全球(JD worldwide)」には多数の日本企業が出店しており、家電製品や化粧品が人気となっています。
電化製品で特に人気の日本企業は、オムロンやソニー・CASIOで、Panasonicの炊飯器と空気清浄機は日本シェアの2割を超えています。
中国国内製品も品質を上げていますが、中国人の日本製品に対する憧れはまだまだ根強いことから、日本製品を購入する消費者が多くなっています。

考拉海購(コアラ・グローバル)

「考拉海購(コアラ・グローバル)」は、中国のIT企業であるネットイースという会社が2015年に設立し、越境ECサイトとして極めて高い評価を受けているプラットフォームです。
主にマザー&ベビーグッズや美容化粧品、生活用品、健康食品などが人気で、設立からわずか3年で越境ECのトップシェアを占める会社に成長しました。
その後、アリババは2019年に「考拉海購(コアラ・グローバル)」を買収し、アリババグループの傘下となっています。

考拉海購(コアラ・グローバル)に出店している日本企業
「考拉海購(コアラ・グローバル)」は越境ECで最も注目を集めているプラットフォームであり、日本企業もこぞって出店しています。
主な企業は、ニトリやカルビー、カシオなどで、日用品や化粧品も人気ですが、より生活の質をあげたい消費者に向けたクリエイティブな製品が売れています。

越境ECはアフターコロナと共存できるのか?

経済産業省が出しているデータから、中国人消費者の越境EC利用は2兆円を超えており、巨大なマーケットであることがわかります。
2020年から始まった新型コロナウイルスの影響により、海外に行けない中国人消費者は越境ECサイトを使い、海外のものを購入する習慣を持つようになっています。
現在中国で使われている各々のプラットフォームには特徴があり、出店している日本企業や売れている商品も異なります。
日本商品は中国人からもともと大変人気があり、安心安全の品質やブランドから信頼度が高くなっています。
今後中国に向けての越境ECに参入を検討している場合、各々のプラットフォームの特徴と中国人消費者のニーズを理解し、中国で購入できない日本製品のプロモーションをしていくことが、今後の中国越境ECの成功の鍵となってくるでしょう。

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Chika Kagami

Chika Kagami

SheChina編集長

SheChina編集長。
20年ほどの日中間での職歴、海外情報収集力と市場創造力を活かし念願の今のリアル中国を伝えるメディアを設立。 日本化粧品のiapetusでは、「断黒」という造語を作り、2021年中国美容用語のトレンド入りさせた。 趣味:旅行/ゴルフ/中国

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