中国のライブコマースは2019年から急激に成長し、今やEC業界に無くてはならないマーケットツールとなりました。その中でも、网红（ワンホン）と呼ばれるトップライバーたちが毎回驚愕な売り上げを叩き出しています。
しかし中国の習近平首席が「共同富裕」を宣言して以来、トップライバーや大手企業への規制や制裁が相次いでいます。そんな中、新しい网红（ワンホン）集団として現れた蜜蜂惊喜社。
蜜蜂惊喜社とはどのような存在なのか、中国のライブコマースの現状を合わせてご紹介していきます。
中国のライブコマースの現状
毎年お祭り騒ぎとなる双11（ダブルイレブン）が終わりましたが、今年は例年とは異なり落ち着いたイベントとなりました。ライブコマース自体の盛り上がりは引き続きあるのですが、毎年行われていたGMV（流通取引総額）は、今年非公開となり、どの网红（ワンホン）が何分でどのくらい稼いだという話題を見ることはありません。
新型コロナウイルスで不景気となっている中国経済の影響もあると思うのですが、習近平首席の「共同富裕」による制裁を懸念して、業界自体が萎縮しているのではないかと感じます。
その中でトップで活躍する网红（ワンホン）たちにも制裁が下されている様子が今年に入って見え隠れしています。
网红（ワンホン）の脱税問題
日本でもかなり報道された女性の网红（ワンホン）2名の脱税問題。
この問題は、彼女たちだけが調査されたわけでは無く、中国のトップライバーたち数名に対して行われました。
近年中国当局によるエンタメ業界への取締りが厳しく行われており、税務局による脱税摘発は今後も行われることが予想されます。
薇娅（Viya）
調査の結果、杭州税務局は薇娅（Viya）に対し、脱税の容疑で合計13.41億元の税金追徴や罰金の支払いを要求しました。それと同時に、今後ライブコマースなどオンラインに関わる仕事を一切禁止されてしまいました。
これはかなりの処罰で、多くのファンから悲しみの声が上がりました。
雪梨（Cherie）と林珊珊
杭州税務局は、雪梨（Cherie）と林珊珊に脱税行為があったと通達し、脱税の容疑で合計9千万元の税金追徴や罰金の支払いを要求しました。
雪梨（Cherie）は2019〜2020年にかけて、複数の会社を作り個人の所得を会社の所得と見せかけていました。
通達とともに、雪梨（Cherie）と林珊珊のSNSアカウントと店舗も封鎖されました。
薇娅（Viya）と同様に、彼らもオンラインに関わる仕事を一切禁止され、彼らの名義でのSNSアカウントはアクセスできない状態になりました。
蜜蜂惊喜社（Bee Suprise Club）とは
薇娅（Viya）が罰金を課せられてから2ヶ月も立たない間に、薇娅（Viya）のチームがライブ配信を行うとWeibo(微博)で話題が飛び交っていました。
そのチームが蜜蜂惊喜社（Bee Suprise Club）で、薇娅（Viya）はステージから舞台裏で活躍する可能性が高いとされています。
「なぜ薇娅（Viya）が関わっているのでは？」と言われているのかというと、蜜蜂惊喜社（Bee Suprise Club）のメンバーのうち3名は薇娅（Viya）のアシスタントやモデルとして以前仕事をしていた子たちだったからです。
また商品の選択やライブ配信のテンポなども薇娅（Viya）の生放送と全く同じであり、ライブ配信の背景なども一致しています。
これを見て、薇娅（Viya）の熱狂的なファンたちは、この蜜蜂惊喜社（Bee Suprise Club）のライブ配信に訪れました。
放送初日では、延べ115万人が生放送を視聴し、10万2,000人のフォロワーを獲得しました。
2日目の放送では累計再生回数が300万回を超え、3日目には440万回、4日目には550万回、5日目には数千万回に達しました。しかし、薇娅（Viya）自身は蜜蜂惊喜社（Bee Suprise Club）との関係を公には認めておらず、実際に薇娅（Viya）が裏で動いているかという確認は取れておりません
蜜蜂惊喜社（Bee Suprise Club）の今後
蜜蜂惊喜社（Bee Suprise Club）は、最大視聴者数が1000万人を超えるものとなりましたが、以前の薇娅（Viya）の9000万人に比べると、10分の1にも満たない数字です。
また薇娅（Viya）はライブ配信で商品の最高低価格を提供する決定権を持っており、そのこともファンを惹きつけていました。
蜜蜂惊喜社（Bee Suprise Club）にはこの決定権はなく、薇娅（Viya）のファンを引き止めることは難しいと予想されています。
中国のライブコマースは急成長を遂げており、今や成長は鈍化しており安定期に突入しています。
習近平首席による「共同富裕」も相まって、今後薇娅（Viya）や雪梨（Cherie）、李佳琦（Austin）などのトップライバーのような存在が生まれるのは難しいかもしれません。
