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【Z世代×バイリンガル】共感で動く中国語人材の採用戦略とは?

■ 採用活動はいま、構造的な転換期にある

求人媒体、ダイレクトリクルーティング、エージェント、SNS──これまで有効だったあらゆる採用チャネルが、いま飽和状態に陥っています。

特に人材紹介会社を通じた採用は、1名あたり100万円以上のフィーが発生するケースが当たり前となっており、「複数名を採用したいが予算が追いつかない」「紹介の枠が埋まり、動けない」といった悩みが企業側に広がっています。

一方で、求職者の行動にも変化が起きています。 企業ブランドや待遇だけでなく、「どんなチームで働くか」「誰と一緒に働くか」といった価値観への共感が、意思決定に大きく影響するようになってきました。

出典:エン人材教育財団調査「仕事価値観及びキャリア満足度に関する年代別調査」より
22〜30歳未満の若手層では、「人や社会の役に立つため」「人として成長するため」と回答した人の割合が他年代より高く、“共感・自己実現”型の価値観が強まっている。

つまり今、採用市場は「情報戦」から「体験・共感戦」へとシフトしつつあるのです。

私たちNUESEは、在日中国人バイリンガル人材を中心とした人材紹介エージェントとして、日々企業と候補者の橋渡しを行っています。その中で得た知見をもとに、採用課題を抱える人事の皆さまに向けて、役立つ情報をシェアしていきます。

■ 採用広報の“構造的な限界”

多くの企業が、求人サイト・SNS・エージェントなどを活用して情報発信を行っていますが、 以下のような課題に直面しています:

  1. チャネルの細分化と選択の困難
    • 職種、世代、言語などで媒体が分断されており、的確にターゲットに届かない
  2. 高額な採用コストとROIの不透明さ
    • 広告費や人材紹介手数料が高騰する中で、費用対効果が見えづらい
  3. カルチャーフィットの見極め不足
    • オンライン上のプロフィールでは、“働く空気感”や“人となり”が伝わらない

結果として、応募は来ても辞退や早期離職が相次ぐ──そんな状況に苦しむ採用担当者が増えています。

採用手法平均コスト即効性相性が合うケース
転職サイト求人情報に強みがある企業
ダイレクトリクルーティング中〜高採用担当に営業力がある企業
人材紹介(エージェント)スペック採用を重視する企業
転職フェア知名度アップと母集団形成を両立したい企業
検索エンジン連携(Indeed等)低〜中掲載コンテンツを豊富に持つ企業
SNS採用(X, LinkedIn)低〜中若手層、専門職ターゲット向け
オウンドメディア自社の採用ストーリーを伝えたい企業
リファラル採用組織内ネットワークが強い企業
ヘッドハンティングエグゼクティブ採用
ミートアップ技術・クリエイティブ職種など
人材派遣中〜高即戦力が急ぎで必要な場合
ハローワーク地域採用・公共採用に強み
中途採用手法12選:特徴・費用・適性まとめ

■ 共感型採用の台頭:採るのではなく「惹きつけて、出会う」

このような背景から、注目されているのが“共感型採用”という考え方です。 単なる募集ではなく、企業の価値観・チームの空気感・社員の人柄を「体感」してもらうことで、 求職者側の共感を起点とした採用の導線を設計するというアプローチです。

特にZ世代を中心に、「理念」「仲間」「温度感」といった要素が就職・転職の意思決定に影響する傾向が強まっており、 従来の求人票だけでは伝えきれない「人間味」の部分が、重要な差別化要素になっています。

その実践的手法の一つが、「ミートアップ=交流型イベント」です。

■ 中国語人材の採用において、共感型採用は“必須戦略”である理由

特にこの“共感型採用”の重要性が顕著に現れるのが、中国語人材を対象とした採用シーンです。

中国圏の商習慣を理解し、かつ日本語能力N1以上というハイレベル人材は、 市場として極めてニッチであり、スカウトサイト上でも1箇所に集中することなく、各サイトに散っているために、リーチしようとすれば大変な工数がかかります。

また、文化的背景として、中国語人材は「空気感」「信頼感」を非常に重視します。 どんな会社なのか、どんな人がいるのかを“感じ取る”ことで、初めて転職を考える層も多く、 求人票を読んで応募するのではなく、「誰に誘われたか」「どんな場で出会ったか」が極めて重要になります。

だからこそ、オフラインでのリアルな出会いの場=ミートアップが最適解となるのです。

年度20202021202220232024
受験者数(人)80237184712170817241961244694
認定者数(人)3627068442520287852875596
認定率45.2%37.1%30.5%32.5%30.9%
過去5年のN1受験者数データ(出典:日本語能力試験のHP)

■ NUESEの原点も、実は“リアルなつながり”から始まった

現在、中国語人材に特化した人材紹介事業を展開するNUESEですが、 その原点は、KOL(Key Opinion Leader)や在日中華圏コミュニティとのリアルな交流の場づくりにあります。

「まずは知り合う」「信頼してもらう」 そういった関係性を地道に構築する中で、自然とキャリア相談が増え、紹介が生まれ、 やがて人材紹介というビジネスへと発展していったという経緯があります。

もちろん、こうした母集団形成にはノウハウが必要です。 場を作るだけでは人は動かない。空気づくり、設計、発信方法── そこには“成功させるための設計原理”があります(※非公開)。

■ 事例紹介:異業種交流会が生んだリアルなつながり

NUESEでは現在も、オフラインでの異業種交流会を定期的に開催し、 中国語人材と企業の“相互理解”を目的とした出会いの場を提供しています。

過去のイベントでは以下のような成果が生まれています:

  • 技術職、営業職、美容医療、研究者など多様な人材との自然な対話
  • 「こんな魅力的な会社があったなんて!」と応募希望につながる“気づき”の提供
  • 中国語人材同士のネットワークが広がり、イベント後に紹介が生まれるなど、リファラルにつながる接点の創出

求職者の意欲を引き出すのは、「待遇」ではなく「人との出会い」── それが、共感型採用が生む最大の成果です。

2025年開催例:異業種交流会の様子

■ まとめ:「惹きつけて出会う採用」がこれからの主流になる

もはや、「求人票を出して待つ」だけでは採用は成功しません。 プラットフォーム依存の限界を超え、自社で“出会いを設計する”視点が必要です。

特に、ニッチな人材市場──たとえば中国語バイリンガル層などでは、 共感を生み出すリアルな体験接点が、人を動かす最後の一押しになります。

採用を「一方通行の告知」から、「双方向の関係性構築」へと進化させていくこと。

それがこれからの採用広報、そして共感型採用のあるべき姿です。

とはいえ、共感を育む採用設計は短期間で効果が出るものではなく、中長期的に継続する姿勢が重要になります。

一方で、短期的な成果を求める場面では、すでに中国語人材との母集団形成を達成しているエージェントの活用が有効な選択肢にもなり得ます。

自社の採用リソースやターゲット層の特性に応じて、共感型採用とエージェント活用を柔軟に組み合わせ、多角的な戦略設計を目指していきましょう。

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