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日本の若者すべて「欲がない」のではありません 日本のZ世代 仲原柚奈

今回インタビューさせていただいた仲原柚奈さんは、日本の慶應義塾大学商学部4年生で、大学3年次に休学し自費で1年間フランス留学をしました。2024年には外資系コンサルティング会社へ入社予定です。

以前、日本には“さとり世代”と呼ばれる人たちが、また韓国では“三抛族”(恋愛、結婚、出産をしない)が現れ、現在では中国にも“躺平族”がいます。ある人は:“東アジア三国の若者たちはみんな病んでいる” と言いました。

日本人であろうと、日本に住む外国人であろうと、“今の日本の若者はだめだ!”という言葉をよく聞きます。時には、別の意見を聞く必要があるかもしれません。

私たちは、インタビューに応じる日本のZ世代の特徴を挙げてみました:

ビジネスや学業で成功している人や、自分のプラットフォームを持ち、自己PRをしたい人。

柚奈さんとの対話の結果、彼女は予想とはまったく異なっていました。しかし、“普通”で“平凡”な柚奈さんが、実際には驚きに満ちていることが分かりました。

01 律儀な「典型的ガリ勉」

Q: 慶應義塾大学の学生として、学びの経験を教えてください

A: 私は岡山県の出身で、東京都とは受験に対する雰囲気が異なります。地方の小学生が「中学受験」を選ぶことはあまりありません。公立中学に進学し高校を経て大学受験をするのが主流です。ですが、私は家庭の教育方針に従って中学受験をし、高校では「推薦入学」を経て慶應義塾大学に入学しました。数学が好きですが、研究志向の強い理系は好きではなかったため、最終的に商学部を選びました。

自身の成績が良かったために、優れた学校に進学することになりましたが、優れた学校へ入学した後、どのように学ぶべきか、卒業後に何をするべきか分かりませんでした。大学に入学して最初の2年間は非常に迷っていました。その後、フランス留学中に、多くの外国人の友達が興味を持って大学や専攻を選び、学んだ知識を将来の職業に応用していることに気づきました。その時初めて、私は大学進学と専攻を選択することの意味を本当に理解しました。

フランス留学中の柚奈さん
 

Q: なぜコロナのパンデミック中にフランスへ留学することを考えましたか?しかも休学して留学するのは、大きな勇気が必要ですね。

A: パンデミック中は何もできないと思うかもしれませんが、逆に考えてみると、多くの時間があるため、「成し遂げる」ことができる時期でもあります。目標を選んで努力し、それを達成することで、自身の能力が向上するだけでなく、自信もつきます。しかし、大学2年生のときにパンデミックが始まった当初は、これに気づいていませんでした。自主隔離の時間が無駄に過ぎました。

大学3年生になり、就職活動が始まる直前で、自分が成長していないと感じ、非常に焦りました。ゼロから何かを始めたいと考え、変化する時が来たと感じました。立ち止まって考えると、新しい言語を学び、新しい国で生活することは、ゼロから何かを創り出す経験をさせ、その過程で自分自身の成長を実感できるはずです。フランス語を学んだことはなく、フランスには好意を抱いていましたので、フランスは良い選択かもしれません。

02 動き出すと、風が生まれる

Q:フランスでの経験はあなたに大きな影響を与えましたね。

A: 大学に入学したばかりの頃は、単位を取ることと、ダンスをすることしか考えていませんでした。異なる文化やさまざまな国の人々との交流を経て、世界がこんなにも広いことを知り、学校へ通うことがあまり功利的でなくなり、私は多くの「役に立たない」クラスを受講し、学びと生活が楽しくなりました。

迷子になっていた私は、フランス留学により自信がつきました。やりたいこともできるし、憧れていた仕事も見つけることができました。これらすべて、フランス留学の経験によってつながっています。私は気づきました、動き出すと、変化が生まれることに。

授業後、ダンス練習に夢中な柚奈さん

実際、NUESEのインタビューを受けることも同様です。友達から「慶應の学生でインタビューに応じる女子大学生いる?」と聞かれた時、以前の私なら絶対に断っていたでしょう。日本の女子学生は「受け身」の人が多いですが、大学1、2年生の頃の私もそうでした。しかし、今の私はそうではなく、思いがけない「偶然」を抱きしめるために、私はすべての機会を試してみたいと思っています。

Q: 一年間の短い留学生活で、あなたの認識と行動に大きな変化を起きて、驚きを感じさせます。ある節目の出来事が本当に人を変えることができるのですね。

A: はい、私は成人する前の多くの価値観や考えが、この1年間の留学生活で打ち砕かれ、再構築されました。初めてフランスに来たときはまだパンデミックの最中で、フランス語もまったく話せませんでしたし、友達もいませんでした。頼れる人もいなかったので、最初の1ヶ月は語学学校とアパートを行き来するだけの毎日でした。1ヶ月後に気づいたのは、これでは日本の大学1、2年生の頃と何も変わりがないということでした。

留学期間中に四方八方を旅行する

私は変わりたかったし、自分だけが自分を助けることができると気づきました。歩みが遅くても、この条件下で何かしら変化を遂げることは進歩なのです。私は他の人との交流の機会を作り出し、フランス人の言語交換相手を探し、あるカフェを見つけました。そのカフェでは毎週水曜に、フランス語が好きな外国人と日本語を学ぶフランス人が集まります。私は率先して参加し、語学学校で学んだ単語やフレーズを使って彼らとの対話を試みました。これにより、最初は一言も話せなかった状況から、フランス人とのコミュニケーションが始まりました。1年経って、私は多くのフランス人の友達を作り、彼らとフランス社会とのつながりを築くことができました。

フランス留学中

留学前、私の交友関係は狭く、快適な範囲内で身近な人たちとだけ交流するのが好きでした。しかし、日本に戻ってからは、同じ授業を受けているクラスメイトに積極的に声をかけ、週に一度でも会うように心がけ、深いつながりを築くようにしました。わずか1年のフランス生活は、私の生活のあらゆる側面に影響を与え、長年の行動様式を変えました。

03 私は欲がないのではありません: 結婚して子供も欲しいし、キャリアも積みたいです。

Q: 柚奈さんの学びと就職活動の経験を通じて、日本社会のどのような変化を感じましたか?

A: 伝統的な日本社会では、名門大学の学歴と「新卒」(卒業直後)のステータスが非常に重要であり、これを足がかりに大手企業に入社し、定年まで働くことを望んでいます。年功序列は「年を取るほど価値が上がる」といういわゆる保証を作り出し、途中で脱落することは「得るものが少ない」とされています。これはまるで決められたレールのようで、皆がこの列車に乗って同じレールを辿ることを望んでいます。なぜなら、それは安定を意味しているからです。

しかし、最近の同級生の選択と経験から、明らかに変化が起きていることを感じます。私の親友もダンスのために1年大学を休学しましたし、多くの先輩たちも「新卒」や「大手企業」のステータスに縛られず、起業したり、スタートアップに参加したり、自分がやりたいことをしています。誰もが決まったレールに乗ろうと急いでいるわけではありません。これはZ世代が日本社会の変革のきっかけを推進し、すべての人により多くの希望を与え、幸福と自己を証明するためのレールは一つだけではないことがわかりました。

留学期間中、各地を旅行する

私は人より1年遅れていましたし、周りの友達はすでに仕事を始めていましたが、私は嫉妬も比較することもありませんでした。この1年は継続的なインプットの年であり、それぞれが自分のタイムゾーンを持っています。私は自分のタイムゾーンで頑張り、進歩し、好きなことをしているだけで十分です!

Q: 現在、柚奈さんは将来についてどのように計画していますか?

A: 職を探す中で数社の日本企業の面接を受けた結果、年功序列や終身雇用が私には合わないことに気づきました。現在内定を頂いている外資系コンサルティング会社は、典型的な「実力主義」で、実力ある者が多く働き、その分の対価も得ることができます。転職も一般的で、これは時代の発展に適しており、私自身の条件にも合っている選択です。

私は周りの機会を活かしたいし、私の人生のすべての関係を大切にしたいと思っています。私にとって「挑戦」は魔法と力を持つ呪文であり、過去の経験もその「呪文」をますます信じさせてくれます。私は自分に対して「女性だから…」といった概念はなく、「日本人は皆ワーカホリック」であることを求めません。子供を産み育てることやその成長に関わることは私の将来の「大きな目標」です。仕事も頑張りたいと思っていますが、時間とお金は私の生活のためにあり、すべての目標と計画は「自分のために生きる」ことから起源しています!

子供の頃から夢だったハリーポッターの舞台 9と3/4番線の駅に立っている

NUESEからのコメント

令和元年版《日本青少年白書》によると、

日本の13歳から29歳までの青少年のうち、「自分に満足している者」や「早く結婚し子供を持ちたいと思っている者」は半数に満たない。

これは意図的なものではなく、偶然にも柚奈さんはその半数未満の一人でした。

柚奈さんのインタビューは非常にリアルで誠実であり、夢を装ったり、過去の経験を飾り立てたりせず、他人の承認を得る必要もなく、彼女の行動すべては「自分のために生きる」ということです。

柚奈さんへのインタビューが、日本の若者に対する固定観念を打破し、同時に今日の若者をより受け入れかつ多様な視点で見ることを望んでいます。

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