面偏差値経済などの影響で、2015〜2021年のスキンケアやメイク用品のマーケット規模は、急速に成長しています。
中国国内ブランドの需要も高まってきていますが、日本やフランス・韓国などの化粧品ブランドは、引き続き人気です。今回は、中国に海外化粧品を輸出する際の方法と中国の商標登録の現状をご紹介していきます。
中国の化粧品輸入許可で必要となるNMPA認証
中国で化粧品を販売する際、NMPA(National Medical Products Administration)中国国家薬品監督管理局を通じて登録及び申請をする必要があります。
登録がない化粧品は、中国国内で販売することができません。
以前の名称は、CFDA(China Food and Drug Administration)国家食品薬品監督管理局であり、2018年に名称変更されました。
中国での化粧品の定義
化粧品とは、皮膚や髪・爪・唇・その他身体に触れる洗浄・保護・美化及びリペアを目的とし、塗布、噴射またはその他の方法で使用される科学工業製品のことをいいます。
特殊化粧品と一般化粧品
特殊化粧品
特殊化粧品は、白髪染め、パーマ、美白化粧品、日焼け止め、抜け毛防止用化粧品、新しい効能を謳う化粧品
一般化粧品
特殊化粧品以外の化粧品(一般スキンケア商品・ヘアケア・ボディケア・ネイルケア・脱毛・デオドラント・香水など)※育毛・豊胸、またボディビルディング製品を含むものは化粧品ではありません。
日本で使用が許可されている成分でも、中国では禁止されている場合があります。
そのため、NMPA申請前に成分チェックが必要です。
NMPAが発表する禁止成分一覧表で事前チェックをするのが一般的ですが、中国では頻繁に法の改正が行われるため、申請中に審査基準が変更になる場合があることを心得ておく必要があります。
NMPA登録の流れ
NMPA登録の流れは下記の通りです。
- 必要書類の事前申請
- NMPA受理センターへ書類を提出し審査
- サンプル検査
サンプル検査期間は、特殊化粧品で約80日、一般化粧品では40〜60日必要です。
- NMPA審査委員会による技術評価審査(月に1度)
- NMPA専門家による評価審査
- NMPA薬品化粧品注冊司による再審査
- 輸入化粧品衛生許可証の発行
申請の期間は最低6ヶ月は必要で、場合によっては1年かかる場合もあります。
NMPA登録に必要な書類
NMPA登録に必要な書類は下記です。
- 製品名情報
- 製品成分
- 製品の実装基準
- 製品ラベルのサンプル
- 製品検査報告書
- 製品安全性評価情報
製品ラベルの表示要件
中国の「化粧品表示管理弁法」によると、製品ラベルの表示には下記の項目を含む必要があります。
- 製品の中国語名及び特殊化粧品登録証番号
- 登録企業及び提出企業の名前及び住所(登録企業または提出企業が海外の場合、国内責任者の企業名及び住所を同時に表示する必要があります)
- 製品の標準番号
- 全成分
- 内容量
- 使用期限
- 使用上の注意
- 法律法規、及び強制国家標準の規定により記載すべきその他の内容
中国の商標登録制度
中国では、中国商標局に出願書類を提出し、審査が通れば商標登録が認められます。
出願書類には、出願人・商標・指定商品・役務などを記載することが必要です。
登録申請は「先願主義」を採用しているので、先に出願されたものが優先で登録されます。
中国でよく起こる商標登録横取り問題
2019年に中国で起きた「無印良品」の商標侵害問題。
無印良品を展開する良品計画(東京)が、北京の現地企業「無印良品/Natural Mill」の商標権を巡り争いました。
最終的に、本家の良品計画(東京)が敗北し、無印良品の商標を保有する「北京綿田紡績品有限公司」に賠償金など約1,000万元を支払うよう判決を下される結果となりました。
その他にも「クレヨンしんちゃん」や「くまモン」など、多くの海外企業が中国の個人や企業に商標を横取りされたというケースは後を経ちません。
有名人の名前も商標登録されており、俳優の木村拓哉やフィギュアスケートの羽生結弦選手・皇族の佳子様の名前も無断で商標登録されていることがわかりました。
中国では、将来的に大きな利益を生むことを見越して、不法占拠で複数の商標を登録する者も多くいます。
また中国の商標登録は「先願主義」を採用しており、米国で採用している「先使用主義」とは異なるので、このようなトラブルが後を経たないのです。
そのため企業側が中国進出を視野に入れてビジネスを展開する際、開始すると同時に中国で商標登録することを検討する必要があります。
中国の化粧品ニーズ
中国神話である「日本製品=安心安全」
これは何年経っても変わらず、「メイドインジャパン」の化粧品は中国人消費者にとって付加価値があります。
近年、メイクや念入りなスキンケアをするようになった背景や社会的ストレスが影響し、肌が敏感になる人が急増しています。そのため、中国国内では敏感肌化粧品のニーズが高まっており、日本以外でもフランスのラロシェポゼやアメリカのスキンシューティカルズ が人気です。
中国への化粧品輸出のハードルは上がるばかり。
人口が多くマーケットも大きいので、国内外から化粧品を販売したい企業がより増えていますが、中国の化粧品申請は年々厳しさを増しており、申請の際に提出する書類や費用のハードルも上がってきています。
また、国が変われば法律ややり方・考え方も変わることを念頭に置き、商品開発やビジネスをスタートする場合、中国での商標登録も検討することも大切です。
また化粧品を中国に輸出する際、審査が降りるのは半年〜1年後になります。
申請中の中国人消費者のニーズと、許可が降りた半年後1年後のニーズにタイムラグがあることを知り、現地の今後のニーズを常に把握することも重要です。
※この記事は2022年11月30日現在の中国での情報を元に書いております。
引用/参考:中国国家薬品監督管理局
百度化妆品标识管理规定